2017年04月23日

シーズンオフの光景

冬の間わたしを温めてくれていた
LAPUAN KANKURITのショールをそろそろクリーニングに出そうと
たたんでいたら


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一瞬で乗っ取り W


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まあ猫あるある ですからしかたないですよね 顔(汗) 


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はい、任務追加10年ね 顔(ペロッ) 


しばしまどろみのあとは



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コイツかっ 顔(笑) 



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はい、任務追加10年 W 



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そのあとも控えている W 




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とってもまんまるなのでこちらも任務追加10年 W 




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八重桜 キラリ 


ニックネーム ココペリ at 14:36| ロシアンさんとシマシマさんとサバコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

任務十八年

ネコメンタリー 猫も、杓子(しゃくし)も。「角田光代とトト



「任務十八年」
さて、任務が終わったので帰ることとなった。
借りていた衣を脱いでもといた場所に帰る。
この衣をすっかり脱いでしまったら、私たちはニンゲン界とは無関係になる。
本来私は時間という概念を持たないから、今より先のことを考えたりはしないのだけれど
私たちの派遣先であるニンゲンは今より先のこと、今より昔のことをくり返しくり返し考える生き物だ。
今起きていないことや存在していないものを思い描いては、こわがったり不安になったりしている。
ずっと前にやったことや起きたことを思い出しては後悔したり落ちこんだりする。
先のことも前のことも考えなければいいのに、それはどうしてもできないみたいだ。
だからきっと私の任務先であったニンゲンさくらさんも、私がやってきた当初から
私がいなくなることを思い描いていた。
私の帰還後はきっと愚かにも後悔したり泣いたりするのに違いない。
私たちはそれぞれ任務を受けて衣を借りて、担当のニンゲンのところに向かう。
ひとりでいくこともあればきょうだいや親子でいくこともある。
目が合って念を送ると、狙い通りニンゲンは私たちをいともたやすく家に招き入れる。
そうして私たちはそれぞれ定められた任務期間、そのニンゲンと暮らし定められた諜報・謀略活動を行う。
諜報は報告書を提出すること。
謀略はともかく自分の力ではなんにもしないこと。
なんでもニンゲンにやってもらうこと。
諜報とか謀略とか言葉は悪いが、私たちが基本的に行っているのは平和的活動だ。
その証拠に私たちを迎え入れたニンゲンは九割がた平和的行動をするようになる。
善良なニンゲンになるわけではないが、ちいさな生き物にたいしてだけは平和的な心になる。
私たちが額から発する睡眠誘発剤を無自覚に吸って、すやすや眠りこむだけで
ニンゲンの心は平和になるのだ。
任務は三年のこともあるし二十年以上にわたることもある。
私の場合は十八年だった。
十八年いろいろあった…と言いたいところだけれど
私には今より前のことを考えることができないから覚えていない。
私を迎えたときのさくらさんはおばさんだったけれど、この任務期間におばあさんになった。
すっかり平和的なおばあさんだ。
帰ったら私はこの功績をたたえられて表彰されるだろう。
それではさくらさんさようなら。
さようならありがとう。
衣を脱いで帰っていくあいだ、背を丸めて私の脱いだ衣を抱きかかえて
わおんわおんと吠えるように泣きながら、私の名前を呼ぶさくらさんの声が聞こえていた。
案の定私は十八年の功績を評価されて表彰され、ご褒美に休暇をもらうこととなった。
私は少し考えたのだけれど、休暇を返上し任務の結果を視察したいと願い出た。
平和的なおばあさんになったさくらさんは、私がいなくなって凶悪なおばあさんになっていないか視察したい。
本来ならば任務を離れたばかりのニンゲンの元へ戻ることは許可されない。
けれどもたぶん私の功績が認められ、その視察目的も納得のいくものだったのだろう、許可が下りた。
一日だけ。
灰色の汚れた外用の衣を借りて、私はふたたび住み慣れた町へと降りていき
赤い屋根のちいさなおうちの前にたどり着く。
見つかったらいけない。
あくまで視察なのだ。
しばらくするとドアが開いておばあさんが出てきた。
さくらさん。
買いものにいくのだ。
前より背中を丸めてしょんぼりとして足取りも重い。
なんだか凶悪になっている気がする。
収集前のゴミを蹴ったり、ちいさな生き物に石を投げつけたりするのではないか。
そうしたら私の十八年もの任務がパーだ。
見つからないようにこっそりあとをつける。
公園を通りすぎたところでさくらさんが足を止める。
じっと何かを見る。
知っている。
電信柱の下にずっと前から付着しているペンキが、私か私の仲間に見えるのだ。
まったく同じ場所なのに、さくらさんは何度でも見間違いをして足を止める。
そして間違いに気づいて、なんだペンキか、と笑って立ち去るのだ。
でもこのときは立ち去らずその電信柱に近づいていく。
私でも私の仲間でもない、ただのペンキの汚れだとわかっているのに、近づいてしゃがむ。
蹴るのか唾を吐くのか。
注視しているとさくらさんはそっと手を伸ばし、ただのペンキあとをやさしく撫でる。
びくりとする。
その手の感触がじかに触られたかと思うくらいはっきりわかったから。
まるくて分厚くて乾いていてあたたかい手のひら。
背中を耳の後ろを、額を、顎を、包むように行き来する手のひら。
私は今撫でられているかのように、さくらさんの手のひらの感じを思い出す。
驚いたことにそれを合図のようにして、次々といろんなことがあふれ出してくる。
ちいさなちいさな私を包んだ両手。
頭をもたせかけて眠ったふわふわのおなか。
嫌いだったシャンプーの泡とやわらかいシャワーのお湯。
テーブルに乗り損ねて床に落ちて、それを見てはじけるように笑う声。
毎日用意されるごはんとおいしいねえと言う声。
あたたかい陽射しのなかでの居眠り混じり合う私たちの寝息。
今ただのペンキあとを撫でているさくらさんも、おんなじことを思い出しているのが私にはわかる。
私を失ってあなたは凶悪になんかなっていない、何も恨んでも怒ってもいない。
ただ自分を満たすものをくり返し確認している。
あくまで平和に。
ねえねえ、きっといつかまた別の衣をまとってあなたのところへ派遣されるから待っていてよ、と
物陰から私は言いそうになる。
でも言わないのは、おんなじことをさくらさんもまた思っていることがわかるから。
さくらさんも、いつかまた私が自分のところに戻ってくると確信していることがわかるから。
あれ?私今より前のことも先のこともわからないはずなのに。
なのに、思い出しているし、いつかわからない先のことを考えている。
あ、そうか、私はニンゲンを視察したかったのではなくて、本当はこのことを知りたかったのだ。
時間の概念がない私にも『今』を作ってきた今までがあり
『今』が作るこの先があると、そのことを確かめたかったのだ。
さくらさんはペンキあとを撫でていた手をふと止めてふり返る。
私は咄嗟にものかげに隠れる。
見つからなかったはずだけれど、さくらさんは十八年ずっと私に向けていたのと同じ顔で
にいっと笑うと立ち上がり、青空の下歩いていく。



泣けた 

うちの子たちの任務はあと何年あるのだろう 

命は大切 


 
ニックネーム ココペリ at 13:46| メッセージ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする